GPミネアポリス ヘッドジャッジ・レポート

Whats Up, Docs?よりKevinDの“GP Minneapolis Head Judge Report”の翻訳です。現行スタンダードにおいて確認しておきたいルールや裁定のポイントを、実例を挙げて解説しています。

原文はこちら


公式の裁定

《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter》

他の狼男とは異なり、《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter》の変身はどちらもメリットがあると見なされる。確かにこれがメリットかデメリットかは状況によるが、すでに《闇の腹心/Dark Confidant》における次のような例がある。

「ある能力が状況によってメリットにもデメリットにもなる場合、メリットがあるものとして扱う」

もちろん、状況調査を行わなくてもいいという意味ではない。特に《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》を併用している場合、相手のターンに《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter》を《爪の群れの咆哮者/Krallenhorde Howler》に変身させないでいることは、《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter》の起動型能力と《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》を瞬速で唱えることの二段構えができるというような、大きなアドバンテージになりえる。ゆえに、プレイヤーの意図を確認するインタビューは行わなくてはならない。

《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》

対戦相手のクリーチャーを追放するのは誘発型能力ではないので、忘れられるものではない。したがって、両プレイヤーはこの置換効果が適用されたことを確認する必要がある。この能力の適用がもし忘れられたなら、両プレイヤーにその他一般のゲームルール抵触行為(GRV)で警告が与えられる(《流刑への道/Path to Exile》の場合と同様だ)。

追加措置として、巻き戻すことが可能なら巻き戻す。そうでなければそのままにしておき、部分的な修復も行わない。ここで違反処置指針(IPG)が示すGRVの追加措置の節を見てみよう。

違反が以下のいずれかの分類に当てはまる場合、単純な巻き戻しが可能でないかぎり、記された措置を行う。
(中略)
・オブジェクトが、必要な領域移動を行わなかった、あるいは領域移動に際して誤った領域に移動したことによって間違った領域に存在し、そのオブジェクトがどれであるか全てのプレイヤーが把握しており、それを動かすことによってゲームの局面をそれほど阻害しない場合、そのオブジェクトを正しい領域に置く。

今回の違反は、この節の範囲に当てはまらない部分がある。カードが正しい領域にないということは、2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンも出ていないということだ。そのためこの違反は前述のカテゴリに収まりきらないので、部分的な修復も行わない。最小限の介入でゲームをあるべき状態に戻すために、部分的な修復は行われる。違反によってゲームの状況があるべき状態からかけ離れてしまったとき、違反の一部を修復することでそれが正しい状態に近づくかどうかについては議論の余地がある。従って、ゾンビ・トークンが戦場に出ていないのなら、部分的な修復は行うべきではない。

ルールの質問

《熱病の幻視/Fevered Visions》

《熱病の幻視/Fevered Visions》の能力がスタックにある状態でこれを破壊しても、NAPがダメージを受けなくなることはない。これは単一の能力なので、一連の流れで解決される。

《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》

何度も見た気がするけれど、きちんと確認しておく必要があるようだ。《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》の能力で捨てたカードがマッドネスを持っていて、これが墓地の5枚目のカードになるなら、《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》は変身しない。マッドネスは、それを唱えるかどうかに関わらず、そのカードを一旦追放する。マッドネスの誘発型能力がスタックに乗るのは《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》の能力の解決後で、誘発型能力が解決された後でそのカードは墓地に行く。

注目の裁定

本当に違反なのか?

状況

APは《ドロモカの命令/Dromoka's Command》で、クリーチャー化した《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》とNPの6/6のクリーチャーを格闘させ、NPにエンチャントを生け贄にささげさせた。NPが6/6のクリーチャーを墓地においた後、APは攻撃した。ブロックされることなく全てのダメージがNPに与えられ、APはターンを終えた。NPのターンに入ってドローしたとき、6/6は死亡していないはずだと気がついた。

調査

NPの6/6が死亡するように、APが意図的に誘導した不正行為の可能性はもちろんあるが、決定的な証拠がない。《ドロモカの命令/Dromoka's Command》のモードに最初は「+1/+1カウンターを置く」を選んでおきながら、最後に「エンチャントを生け贄にささげる」に変更された可能性をまず私は考慮したが、そのようなことはなく、モードはきちんと公正に宣言されていた。次に、ゲームの状況を確認したが、6/6のクリーチャーとエンチャントの両方を除去しなければいけないという程の盤面ではなかった。加えて、6/6が死亡しないことにNPが気づいていたなら、この《ドロモカの命令/Dromoka's Command》は極めて悪手となる。不正行為を行うにはリスクが大きい割りに、それに見合う恩恵が得られるわけでもない。以上のことから、これはGRVに該当する違反と結論付けた。

巻き戻すべきか

GRVなので、巻き戻すべきかどうかを検証しなければらない。ひとつひとつの手順を順番に巻き戻すことを考えてみた。最初のステップは、NPのドローだ。手札から1枚ランダムにライブラリーのトップに戻すのだが、NPの手札の一部は《進化の飛躍/Evolutionary Leap》で公開されていた。公開されたカードが何であったかをメモを見ながら話し合っている最中に、APが気気づいた。「ちょっと待って。6/6は《ドロモカの命令/Dromoka's Command》に対応して《進化の飛躍/Evolutionary Leap》で生け贄にささげなかった?」NPはこれを認めた。

となるとこれを巻き戻すのはより複雑になる。しかし別の疑問がここで浮かび上がってくる。果たして本当にゲーム上の違反があったのか?

NPは6/6が《ドロモカの命令/Dromoka's Command》で死亡すると思い込んで行動したが、これはプレイング・ミスと捉えられる。

この時点でこれはGRVの問題ではなくなり、意思疎通規定抵触行為(CPV)の問題である可能性が浮上した。私は両プレイヤーに個別に、APは何と言っていたかを聞いていた。つまり、APの発言が共有情報について不正確な言及だったのかどうかを知りたかったのだ。「あなたが(対戦相手が)呪文を唱えたときのことを教えてください。」というふうに、自由に答えられる質問を心がけた。より的を絞った質問をすれば、こちらの意図に気づいて都合のいい回答をしてしまう恐れがある。こちらはその内容を確かめることができないのならなおのことだ。自由回答の質問をすることで、こちらが何を求めているのかを相手に悟らせないことができる。

裁定

APは共有情報についての不正確な言及をしていないということで、両者の説明は一致していた。よってこれは単に、NAPが6/6を《進化の飛躍/Evolutionary Leap》で生け贄にささげてしまったというプレイング・ミスだと結論づけ、巻き戻すことなくそのままゲームを進行させた。

補足

  1. まず、ゲームを一手一手巻き戻すことの有効性を強調しておきたい。それまで見落としていた重要な要素を手早く見つけることができる。今回のケースでは、その要素によって裁定が変更されるに及んだ。

  2. プレイヤーから答えを得たいときは、イエス・ノーで答えられる質問はしないほうがいい。知りたいことが、意図せず質問文から伝わってしまう恐れがある。

誘発忘れのコールを意図的に遅らせる

APは《爪の群れの咆哮者/Krallenhorde Howler》をアップキープに変身させるのを忘れて、3/3のままで攻撃した。NAPはこれに気づいていたが、ブロッククリーチャーの指定後という最適なタイミングまで待ってからジャッジを呼んだ。これにはなんら不適正なところはない。

対戦相手の誘発忘れに気づいたプレイヤーは、直ちにジャッジを呼ぶ必要はない。いつ呼んでもいいし、呼ばなくてもいい。

注目のジャッジ

(この節の翻訳は割愛します。)

Kevin Desprez