Whats Up, Docs?よりKevinDの“Investigating: The Role of the Floor Judge”の翻訳です。ジャッジコールを受けたときにフロアジャッジがすべきこと、ゲームの状況判断と調査についての指針が書かれています。特に大きな大会でフロアジャッジをする機会がある人には役に立つでしょう。原文は2015/09/01に公開されたものですが、ルールにかかわることではないので今後も適用できるでしょう。

原文はこちら

調査を行うことはヘッドジャッジのみに与えられた特権だというのは、分かりやすくて一般的な考え方で、不合理なことでもない。しかしそのような考え方は、調査の質に悪影響を与える恐れがある。誤解を恐れず言うと、フロアジャッジなしには調査はありえない。フロアジャッジは問題を発見し、状況を判断して、さらなる調査が必要かどうかの判断下す。それまでヘッドジャッジは、今起きていることについてこれっぽっちの手がかりも得ることはない。言い換えると、それまでの間、調査は誰が行うのか?フロアジャッジだ!

ヘッドジャッジである私のもとへフロアジャッジが来て、調査をしているのだと言うものの、私が詳細について尋ねるても満足な答えが返ってこないということが非常によくある。彼はただ、何か問題があったので、私が介入すべきだと感じただけだ。これは調査の始め方としては悪くない。最高ではないかもしれないが、いいことには違いない。どうすれば最高になるかを考えてみよう。フロアジャッジとして、上手な調査を行うための最適な状況を作るにあたって、何をするべきだろうか。

状況判断

ジャッジがゲームのテーブルに呼ばれてまず反射的に行うのが、状況の判断だ。ルールの質問か?コミュニケーションに関する問題か?意見の相違?それとも他の何か?自然で素晴らしい条件反射だ。とはいえ残念ながら、これはそれほど重要なことではない。テーブルに来た時点で重要なのは、何が起こったのかについて両プレイヤーの意見が一致しているかどうかを確認することだ。これこそが、まず興味を持つべきポイントだ。

ほとんどの場合は、テーブルに来たらプレイヤーから質問を受け、それに適切に答えればいい。しかし、そうでない場合は、それに気づいた時点で速やかに両プレイヤーを引き離し、個別に話を聞くことが大切だ。実際にそうなった場合は、二人のうちのどちらかが嘘をついているということも考えられるので、ヘッドジャッジを呼ぶことが好ましい。でも、呼ぶのはちょっと待って!その前に行うべき調査がある。

プレイヤーの最初の供述を聞く

もし両プレイヤーの話が一致しないなら、テーブルから離れて一人ずつ順番に話を聞こう。ゲームの流れに関係あることだったならテーブルに戻って、それぞれの視点から、起きたことを説明してもらおう。この場合は、もう一人のプレイヤーには少し離れてもらうことになる。ここでの目的は、その状況における両プレイヤーそれぞれの視点を確認することだ。プレイヤーの最初の供述は、調査において核となる要素だ。その発言はプレイヤーの意見の大筋を固めるものであり、後に矛盾があるればそれを見つけられるかもしれないからだ。

よって、相手プレイヤーの話を直接聞けないようにすることが重要である。さもなくば相手の話に合わせて自分の話を都合よく改変する機会を与えてしまうことになる。「対戦相手が言ってる通りです。けど…」といった発言をするプレイヤーもいる。しかしこのプレイヤーは自分の口では何も言っていない。対戦相手が正しいと言っただけだ。そうすることでジャッジにあまり情報を与えず、必要に応じて有利な発言をできる立場でいられるのだ。

プレイヤーを引き離すことの利点は他にもある。

  • 対戦相手に気分を害されるようなことがあった場合には、その原因を視界から取り除くことで落着きを取り戻せるだろう。そのプレイヤーからは対戦相手が見えないようにしつつ、ジャッジからはその対戦相手が見えるようにして話を聞くことが望ましい。
  • 状況をコントロールし、両プレイヤーと生産的な議論ができる立場を維持しよう。対戦相手の発言を妨げることができる状況は避けよう。
  • ひそかに会話をすることで、プレイヤーの行動の戦略的な理由を聞くこともできるし、決定的なカードを手札から見せてもらうこともできる。つまり、そうしなければ得られない情報を得ることができる。

両プレイヤーからそれぞれ話を聞くことができたら、ヘッドジャッジに相談するかどうかを判断する必要がある。これは機械的に決められることではない。実際には、一度両者を引き離して聞いてみると、二人とも同じ内容を違う言葉で言っているだけかもしれない。細かい意見の違いがあっても、ジャッジからすればゲーム上無意味なことかもしれない(これは順序違いの連続行動にあたるケースで多い)。

決断の時

フロアジャッジの調査は情報収集が主目的なので、法外に長い時間をかけてはならない。ヘッドジャッジが来たならプレイヤはーまた同じことを説明するはめになるので、ヘッドジャッジを呼ぶかどうかの判断は素早く行うべきだ。プレイヤーから聞いた内容をきちんと把握していればそれでいい。

ここまでに述べた手順は、故意の違反の場合に限らず、順序違いの連続行動が適用されるかどうかなどといった細かなケースにも当てはめることができる、至極一般的なことである。どんなケースでも決断を下すにあたっては、起こった事実についての可能な限り正確な情報が求められる。

また、当てはめられる手順があるということは、当てはめられる制約もあるということだ。つまりどんなケースであっても、決断は素早く下すべきだ。

ヘッドジャッジを呼ぶ

次のいずれかに当てはまる場合、ヘッドジャッジを呼ぶことになる。

  1. プレイヤーが上告した。
  2. 故意の違反だとフロアジャッジが判断した。

誰かジャッジにテーブルについていてもらい、ヘッドジャッジを呼びに行く

自分でヘッドジャッジを呼びに行くときは次のように行う。残されたジャッジはプレイヤーを監視し、プレイヤーが他人との接触したり状況を進行させたりするのを防ぐ。テーブルナンバーを覚えておく必要はない。テーブルに戻れば、残されていたジャッジがあなたの元のポジションをカバーし、あなたは引き続きその案件の関係者として居続けることになる(詳しくは後述)。

テーブルに戻る前に、ヘッドジャッジに簡潔に説明する

テーブルに戻ってから、ずっと待っているプレイヤーに見られながらヘッドジャッジに説明をするのは、自分で気づいてなくても緊張するものだ。焦って説明すると、大事なことを言い洩らしてしまう恐れがある。

戻りながら説明をするのはNG

会場の通路を並んで歩くのは不可能だ(できるとしたら、素晴らしい会場だね)。マジックの大会中に、前を歩いてる人と会話をしようとしたことがあるなら、それがどれだけ難しいかわかるだろう。説明が終わる前にテーブルに戻ってしまうと、先に説明したとおり、急いてしまって情報を伝え損ねる恐れがある。

時間と効率のバランスを考えよう。時間は大切だが、誤った情報や不十分な情報のほうが大きな問題になる。

関係者としてその場に残る

案件がヘッドジャッジに渡ったところで自分の役割が終わったと思って場を離れるジャッジが非常に多い。最初にコールを受けた者がいなくなることは、調査において大きな問題となる。調査の初期の情報を持っている者がいれば、プレイヤーの話の食い違いや矛盾を見つけるのに大いに役立つ。ヘッドジャッジと一緒にプレイヤーの話を聞き、何かおかしなことや矛盾を感じたら、ヘッドジャッジに伝えよう!

案件の重要人物であり続けることが大切だ。食い違いや不明瞭な点がある際には、メモを取っていると役に立つかもしれない。プレイヤーの最初の供述は、起きたことを判断する決定的な要素になることを覚えておこう。

呼ばれるのを待つだけでなく、積極的に

ジャッジコールで呼ばれて調査を行うことが一般的だが、自分から積極的に介入して調査をする機会もたくさんある。例えば次のような状況がそれにあたる。

  • ゲームを見ていて、おかしな行動に気づいたとき
  • 小さな誤りに見えることが、実際には大きな問題になりえるのではないかと感じたとき

ゲームを観察する

故意の違反を見極めるには、プレイヤーの意図を見極めることが求められる。プレイヤーがずうずうしい態度で嘘をついているとか、つじつまが合わないことを言っているとかでもない限り、ジャッジにプレイヤーの意図を見極められることはそうそうない。従って、少しばかりの知覚と直観が必要になる。GPロサンゼルス(原文・未訳)やGPニュージャージ(原文・未訳)のレポートで書いた、“A guilty pause”というものがあるので目を通してほしい。これは、ジャッジが見ていなければ気づけなかった、失格が与えられる案件のわかりやすい例である。

(訳注:ここで挙げられた“A guilty pause”とは、プレイヤーがゲーム上の誤りに気付いて一瞬手を止めたものの、相手が気づいていないのなら有利になると思って、そのままゲームを続けた事例のことです。)

結果を予想する

誤りを見つけた場合、そのミスがゲーム上重要かどうかを評価する。

  • ゲームを決定づけるようなものではないか
  • それによって敗北を回避してはいないか

小さなミスでもそれが広範囲にわたって影響を及ぼすものなら、調査に値する。

多くの人はそう思ってはいないようだが、調査するにおいての最も重要な要素はフロアジャッジだ。問題の探知からプレイヤーの要求のダブルチェックまで、調査がうまくいくかどうかはフロアジャッジにかかっている。フロアジャッジがすべき調査を完璧にできていれば、呼ばれたヘッドジャッジは技術的にはただ決断を下すだけでいい。もちろん、この記事の通りにならないことも多いだろう。それでも、この記事がフロアジャッジにとって目指すべきポイントであることは変わらないだろう。

Kevin Desprez.

ツイート

人気の記事

まだデータがありません。

コメント

お気づきの点などございましたら、お気軽にコメントください。

メールアドレスが公開されることはありません。