Whats Up, Docs?よりKevinDの“[O]fficial: Attacking, blocking and shortcuts”の翻訳です。いつの時代も話題になる問題について、公式の見解が表明されています。マジックは言葉遊びのゲームではないのだから、意思をきちんと伝えあい、細かい揚げ足取りを気にすることなく誰もが平等に楽しめるものであるべきだというKevinのメッセージが込められています。原文は2016/05/26に公開されたものです。

原文はこちら


[MTR4.2手順の省略]には、次のような文章がある。

自分のターンの戦闘前に、「戦闘」「攻撃」などの単語を使った「戦闘入ります」などの宣言をした場合、非アクティブ・プレイヤーが止めない限り、戦闘開始ステップにアクティブ・プレイヤーがパスした、ということを意味する。非アクティブ・プレイヤーは望むならその時点までの任意の時点でパスを中断し、何か行動することができる。

昔話を少し

10年以上前のことだ。ありふれた“テクニック”のひとつとして、《ボール・ライトニング/Ball Lightning》を走らせるために、第一メインフェイズで対戦相手に《氷の干渉器/Icy Manipulator》を使わせるというものがあった。そのために、「戦闘フェイズ入っていいですか?」とは言う前に、「攻撃いいですか?」と繰り返し言うのだ。そうすることで、対戦相手はいつ行動すべきか分からなくなるだろう、というものだ。

こんなマジックは楽しいものとは言えなかったが、これは適正な行動で、至極競技的だった。そしてこれが小規模な大会においてジャッジ達を困らせていることに、あるとき高レベルのジャッジが気づいた。

NAPが認めない限り、APがメイン・フェイズに留まれる文言はない

戦闘前メイン・フェイズを終わらせたいことを示唆する発言は、どんなに言葉を慎重に選ぼうとも、優先権の放棄を意味する。「戦闘前メイン・フェイズ中に優先権をパスします。」「戦闘開始ステップに入りたいです。」といった十分徹底した文言であっても、同様である。

言い換えると、APは戦闘前メイン・フェイズで行動することをNAPに強いることはできない。また、NAPはその行動が戦闘前メイン・フェイズのものだと具体的に言わない限り、戦闘開始ステップに行動したものだと見なされる。

戦闘開始ステップのAPの行動

この省略についてもっとも分かりやすい流れが、次のようなケースだ。

  • AP「コンバット」
  • NAP「どうぞ」
  • AP「《怒り狂う山峡/Raging Ravine》をクリーチャー化して攻撃します」
  • NAP「ジャッジー!」

これは不適正な行動だ。「コンバット」という発言によって、APは戦闘開始ステップの優先権を放棄している。そこからNAPも放棄したので、ゲームは攻撃クリーチャー指定ステップまで進行していることになり、APはまず攻撃クリーチャーを指定しなければならない。この指定はターン起因処理なのでスタックを用いることはなく、対応して何かをすることもできず、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》を起動することもできない。

APが戦闘開始ステップに行動する必要がある状況はそれほど多くないが、次のような例がある。

  • いくつかの呪文や能力は、戦闘フェイズ中にしかプレイできない(これを見かけることはほとんどない)。
  • NAPのマナ・プールを空にしたいときがある。
  • 戦闘開始時の誘発型能力を利用したいときがある。

これらの状況においては、APは戦闘開始ステップの優先権を保持したい理由をあらかじめ示さなければならない。

  • 「戦闘開始ステップに入って、《大釜のダンス/Cauldron Dance》をプレイして、《翡翠像/Jade Statue》を起動します。」
  • 「戦闘フェイズに入りたいけど、浮いてるマナを使いますか?」
  • 「戦闘開始ステップ、《狩猟の統率者、スーラク/Surrak, the Hunt Caller》の能力が誘発します。」

これらの例は、APがその行動をする前にNAPは何もするつもりがないという前提に基づいた行動だ。そしてNAPは、本当に行動する場合を除いて、戦闘前メイン・フェイズに何かするそぶりを見せるべきではない。またこの省略によって、情報や意図をAPがさらしてしまう可能性は大いにある。しかし手順の省略を認める引き換えとしてそうなることは、仕方がないだろう。NAPには、すきなときに行動する権利があることをお忘れなく。これは、NAPが対戦相手のドロー・ステップに《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を唱えたいときに、特に先んじて行動する様によく似ている。ドロー・ステップの優先権を放棄してもらえるかわからないが、優先権が欲しいことをはっきりと示すために、呪文を唱えてしまうことでそれを示すのだ。

ミシュラ・ランドを起動してブロック

正確な話をすると、攻撃クリーチャーの指定後、APは優先権を放棄する必要がある。しかし攻撃クリーチャーの指定後に、NAPはブロック・クリーチャーを指定するか呪文や能力をプレイすることができると思っているプレイヤーは多い。そのため、次のような状況が起こりえる。

  • NAP「ブロック入ります」
  • AP「どうぞ」
  • NAP「ブロック・クリーチャー指定の前に、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》をクリーチャー化します」
  • AP「ジャッジー!」

先の例とは異なり、これは適正な行動である。NAPは土地をクリーチャー化してからブロック・クリーチャーを指定できる。

これが適正である理由は手順の省略とは無関係で、ゲームのルールにある。攻撃・クリーチャー指定ステップにおいて、APNAPの順でプレイヤーは優先権を得る。つまり、NAPがブロックしていいかとAPに尋ねることは、優先権を求めることと機能的に同じである。NAPに優先権が渡った後でも、NAPが何かすれば再びAPに優先権が帰ってくるので、ステップ中にAPが呪文を唱える機会を失うことはない。逆にこれを認めないとすると、APが何も言わなければNAPは「優先権もらっていいですか?」と言うことになる。NAPは今から何かをしたいという意思を晒すことになり、APが有利になってしまう。

NAPが「優先権もらってもいいですか?」と尋ねた後で何もしないことを選んだ場合は、手順の省略における別の節に抵触することは覚えておきたい。

プレイヤーは優先権を要求し、何もしないことを選んではならない。何もしないことを選んだ場合、優先権は要求されなかったものとして直前に優先権を持っていたプレイヤーに戻される。

付け加えるとこの例は、ブロック・クリーチャー指定ステップにおいても同様である。戦闘ダメージを割り振って言いかとNAPが尋ねたとしても、呪文や能力をプレイする機会はまだある。

「どうして優れたルールの知識から利益を得られないんだ?」

これは、このルールを説明する際に良く聞かれる質問だ。理由は次のとおりだ。

マジックは、誰でもプレイできる包括的なゲームだ。非英語話者であっても、耳が聞こえなくても例外ではない。

従って、特定の文章に限って手順の省略にならないことを認めてしまうと、マジックが世界的なゲームであることを害することになる。我々がプレイしているのは「マジック:ザ・ギャザリング」であって、 「マジック:ザ・言葉の意味」とか「マジック:ザ・君の宣言を正しく聞き取ることができなかったので申し訳ないけどなんて言ったのか正確に教えてくれると助かリング」とかではない。

加えて、手順の省略になる言い方とならない言い方の間に線を引こうとすることは不可能と言っていい。それからもうひとつ、実際の正確な発言がどうだかなんて気にしないプレイヤーを増やして欲しい。そうすれば、これがなぜ我々が維持しようとすることさえできない線なのかを理解できるだろう。

いくつかの理念

タイミング次第では、ゲームの自然な動きによって、NAPがターンの流れをコントロールすることがある。以下のタイミングでは、行動するのがNAPだけであることも多い。

  • アップキープ・ステップ
  • ドロー・ステップ
  • 戦闘開始ステップ
  • 終了ステップ

アップキープ・ステップやドロー・ステップに行動することはめったにないので、手順の省略はそれを明文化していない。その代わり、NAPは何かしたいのならそれを明示する必要がある。これは現実的にはちょっとした情報をAPに与えることになるが、円滑なゲームの進行のため一般的に許容される程度のものだ。しかし戦闘開始ステップや終了ステップでは、NAPの影響力はより大きくなる。そのため、いつ行動するのかをあらかじめ明示せずとも問題なく行動できるようにすることが重要だ。手順の省略が目指すところは、プレイヤーの行動の大部分がどのタイミングでなされているのかを定義することだ。そうすればプレイヤーは、それ以外のタイミングで何か行動したいときにだけ、その旨を相手に伝えればいいようになる。

APが「戦闘に入ります」と言ったあとでNAPが行動しても、メイン・フェイズに行動したいと明示していなかったなら、メイン・フェイズで行動したのだと言い張ることはできないことも覚えておきたい。手順の省略に関する決まりはルールであり、すべてのプレイヤーに対して公平であって、誰かをかばうためのものではない。プレイヤーがゲームを楽しくプレイし、すべてにおいてダブルチェックの必要なく意識的な行動選択を行えることが、このルールの原点として好ましい。

Kevin Desprez.

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